口腔粘膜の疾患

口腔粘膜の疾患について

口腔粘膜の疾患というと、口内炎、ヘルペス、口腔がんなどが思い浮かべる方が多いと思います。本ページでは、口内炎やヘルペス、口腔がんについてご説明いたします。

これらの口腔粘膜疾患の中には、ウイルスや細菌などに感染して生じる炎症性のもの、がんなどの腫瘍性のもの、奇形などの先天性のものなど、さまざまなものがあります。万一口腔がんであっても、初期のうちは痛みも少なく、ご自身で口内炎と区別することが難しいこともあります。本ページご参考いただき、気になる症状がある方は、ぜひお気軽に歯科医院へご相談ください。

口内炎とは

口内炎とは、皆様もご存じの通り、お口の中の粘膜に起こる炎症です。頬の内側、舌、歯ぐきなどにできます。口内炎ができると、食事のとき、しみたり痛む、会話しづらいなど、不快感を感じることと思います。この口内炎にもいくつかの種類がありますが、代表的なものを下記にてご説明します。

口内炎

アフタ性口内炎

一般的によくみられる口内炎は「アフタ性口内炎」と呼ばれるものです。アフタ性口内炎は、白い潰瘍部分の周囲が赤くなっていて、一度に複数できることもあります。子どもから高齢者まで幅広い年齢の人にできやすいです。

原因は、食事をしているときにかんでしまった傷、ビタミン不足、睡眠不足やストレス、胃腸障害などが考えられます。治療では、ステロイド系の塗り薬や貼り薬を使用します。口の中を清潔に保ち、十分な休養をとることも大切です。アフタ性口内炎は多くの場合、2週間くらいで治癒します。

ヘルペス性口内炎

単純ヘルペスというウイルスに感染して起こる「ヘルペス性口内炎」があります。ヘルペス性口内炎は、唇の周囲や歯肉、舌などに水泡状の口内炎がいくつもできます。このウイルスに感染すると、一度治ったと思っても、疲れや睡眠不足で体力が低下したときなどに、繰り返し口内炎ができることがあります。

ヘルペス性口内炎は、痛みが強く、発熱や倦怠感などの全身症状を伴うため、入院などが必要になるケースもあります。治療には、抗ウイルス薬の飲み薬、塗り薬のほか、消炎鎮痛薬、二次感染予防のための抗菌薬などが使用されます。ほかの口内炎と違って、唾液から人に感染する危険性があるので注意が必要です。

口腔がんとは

「口腔がん」は、口の中にできるがんの総称です。舌がん、歯肉がん、口腔底がんなど、いくつかの種類がありますが、もっとも多いのは舌がんで、口腔がん全体の約40%を占めていると言われています。

口腔がんは初期のうちは痛みも少なく、ご自身で口内炎と区別することは難しいことが多いです。口腔がんの治療は一般に、外科的療法、放射線療法、抗がん剤などの化学療法の三つの方法があります。治療法は、がんのタイプや、進行の度合い、転移の有無、患者さんの全身状態などによって検討し決定していきます。

口腔がんの主な症状

初期の口腔がんでは、自覚症状がほどんどありません。たとえば口腔がんで次のような症状があってある場合は、すでにがんが進行している状態と考えられます。

  • さわると硬く感じる
  • 口の中の痛みしびれ感がある
  • しこりがある
  • 舌を動かしにくい
  • 話しにくい

口内炎と口腔がんの見分け方

口内炎と口腔がんのいちばんの相違点としては、自然治癒するかしないかという点です。炎症性の口内炎がやがて治るのに対し、がんの場合は自然治癒することはありません。2週間以上たっても口内炎が治らない場合には、歯科医院・口腔外科を受診することをおすすめします。

※歯肉や舌、頬の裏側などの粘膜が白く変色し、こすっても落ちないという状態が1ヶ月以上続く場合には、「白板症(はくばんしょう)」という病気の可能性があります。白板症は、将来的にがんに移行する危険があるため、早期発見と長期の経過観察が重要となります。もし少しでも気になる症状がある方は、お早めに歯科医院へ一度ご相談ください。

口腔粘膜の検査

歯科医院では、お口の中の検査として、歯や歯ぐきのチェック、お口の中や舌、唇、口角などの粘膜にできる炎症のチェックも行っております。歯科医師による視診で異常が見られた場合には、精密検査を行います。当院は、大学病院と連携し精密な検査も行っております。病変の一部を少しだけ切り取って大学病院の病理検査部に依頼します(連携病院:東京慈恵会医科大学病理学教室 羽野寛教授/国立大学法人岡山大学口腔病理学分野 長塚仁教授)。

口腔粘膜の疾患はがんに移行する可能性もありますので、病理的な検査も欠かせません。お口の中の病気となる、虫歯、歯周病、口腔粘膜の疾患も、病状を自己判断することは困難です。気になる症状や違和感は、一人で悩んだり自己判断で放置せず、お気軽に歯科医院へご相談ください。